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そして、この時期を狙ったかのように、母親から電話が来た。
『元気にしてる?』
「うん、元気だよ。」
もうこうなった以上、元気しか取り柄がない。
『お正月には、帰って来るの?』
「うーん。」
本当は、実家に帰ってグタグタしたい気分だけど、今年はそうもいかないみたい。
なんたって、新しい仕事見つけなきゃいけないもんね。
「もしかしたら、帰れないかもしれない。」
『なに、仕事忙しいの?』
「ん?うん。」
ちなみに母親には、会社を辞めた事も、契約社員になった事も話してはいない。
母親の中では、私はまだあのブラック企業で、働いている事になっている。
『頑張りなさいよ。あんたは、自慢の娘なんだから。』
「はははっ……」
その自慢の娘が、年越しを前に契約を打ち切られ、無職になりそうだと言ったら、母親は失神してしまうんじゃないか。
そんな事を思った。
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