第1話 突然の坂道

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デキる女代表の柳井さんが、会社から半分ダメだと思われてる? 断固ない! と言っても、口に出して言える勇気もない私。 「私、もう40代だし。正社員の市場なんて、ほとんどないの。会社もそれが分かってるから、半分哀れんで正社員にならないかって、言ってくれてるのよ。」 「……そんな事、ないですよ。」 ああ、弱気で言っちゃった! なんでもっと、強く否定しないの! 「本当よ。でも、水久保さんは違うわ。まだまだこれから、正社員になるチャンスなんて、たくさんある。それに仕事ができるから、こんな契約社員で埋まっているなんて、勿体ないわよ。」 「柳井さん……」 そんな風に思ってくれていたなんて。 「人事部の部長も同じ事、考えていたんだと思う。だから、水久保さんを、旅立たせた。絶対そうだよ。」 私は、柳井さんの温かい言葉に、涙が出そうになった。
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