2514人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、私……半年前の就職活動では、全く正社員になれなかったし。」
「時期があるのよ、時期が。」
「自分が、仕事できる人間だなんて、思えないし。」
「自分で思ってる人なんて、大抵勘違い野郎よ。」
はははっと、柳井さんと一緒に笑った。
「あーあ、元気出ました。有難うございます、柳井さん。」
「ううん。頑張れ!」
「はい。」
話をしている間に、午後の始業まで、あと15分を切った。
その時間になると、市来さんがのんびり、外のランチから帰って来る。
「お帰りなさい。」
私が声を掛けると、市来さんはお財布を胸の前で持ちながら、目をパチパチさせていた。
「あれえ、水久保さん。ちょっと見ない間に、顔明るくなったぁ。」
「ちょっと見ない間で、ほんの40分ぐらいですよ。」
何を言い始めるんだと思ったら、柳井さんもクスクス笑いだした。
「ううん。ホント、顔色良くなった。」
最初のコメントを投稿しよう!