第1話 突然の坂道

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二人からそう言われ、ちょっと愚痴ってみるって、こんなに必要なんだと思った。 「……ありがとう、二人共。」 私のお礼に、二人が笑う。 「何よ、改まって。」 「そうそう。」 私もいつの間にか、笑っていた。 そう言えば、ここ数日間。 笑う事も忘れていたかもしれない。 そうだよ。 くよくよしてたって、仕方ないもんね。 実家の母親にも、無職になる事、言ってみよう。 もしかしたら、少しくらいお金出してくれるかも。 なーんて、都合のいい話はないか。 「さあさあ、午後の仕事も頑張ろう。」 デキる女、柳井さんがパソコンを開く。 「あーあ。仕事始まっちゃった。」 可愛い女、市来さんは早速欠伸だ。 「あなたね、始業開始から欠伸って。」 「だって、ランチ食べた後で、眠いんだもん。」 私はこの二人のやりとりなんて、今まで気にした事ないけれど、正反対の性格で、なかなか面白い。
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