第1話 突然の坂道

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「は……は、はい。」 ここでも、真面目だけが取り柄って言われた。 もう、立ち直れない。 私は、がっくり肩を落としながら、自分の席に戻った。 今まで自分が真面目だなんて、思った事なかった。 一生けん命に仕事をして、それが評価されてるだけだと思っていた。 それが、真面目”だけ”なんて、言われるなんて~! 無意識に、私は自分の机に、倒れ込んだ。 「ど、どうしたの?水久保さん!」 柳井さんが、私の体を揺らす。 「わっ!水久保さんが、倒れてる!」 市来さんも、隣で驚いている。 「放っておいてください。ちょっと、立ち直れません。」 目を瞑ると、今までの人生が、走馬灯のように流れて行く。 勉強を頑張ったのも、いい大学に入ったのも、なかなか就職が決まらなかったのも、ブラック企業で体を壊したのも、全部私が真面目だから? 真面目が憎い。 こんなにも、真面目と言う言葉が嫌いになった事は、なかった。
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