第1話 突然の坂道

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しばらくして、最後の給料日が出た。 これに、貯金を合わせて約2か月、なんとか過ごさなければいけない。 「ああ~。」 けれど、何度計算しても足りない。 いや、実際は固定支出だったら、何とか足りる。 残りの食費や、小遣いなどがなんとも、寂しい金額になってしまう。 「切り詰めるって言ったって、どこを切り詰めるって言うの?」 もうため息しか出て来ない。 こうなったら、やっぱり母親に頼るしかないか。 私はスマートフォンを持って、目を瞑りながら、電話のマークを押した。 『はい。』 思ったよりも早く出た母親に、スマートフォンを落としそうになる。 「あ、あの!お、お母さん?」 あっ、まずい。 緊張しすぎて、声、裏返った。 『そうですよ。あなたのお母さんですよ。』 「う、うん。よかった。」 何がよかったのか。 母親からも、「はあ?」という声が聞こえてくる。
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