第1話 突然の坂道

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いつの間にか、スマートフォンを持つ手が震えている。 『で?どうしたの?こんな夜に。』 「う、うん。あのね、お母さん。」 何から話したらいいのか、頭の中が混ぜこぜになってきた。 こんなの初めてだ。 『どうしたの?言いたい事があるなら、言いなさい。』 「うん……えーっと……」 これから無職になる事を言うって、こんなにも言いづらいなんて。 「実は……」 でも、言わなきゃ! これからの、生活の為に! 「……仕事、クビになって、新年早々無職になるんだよね。」 『えっ!!』 静まり返った空気が、電話を通しても伝わってくる。 『どうして、そんな事になったの。』 「分からない。たぶん、会社の都合。」 電話の奥から、母親のため息が聞こえてくる。 ため息なら、こっちがつきたいくらいだわ! 『それで?就職活動はしてるの?』 「これから。」 『そう。なるべく正社員でお願いするわよ。』
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