第1話 突然の坂道

22/24
2516人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「うっ…うん。」 いきなりハードル上げましたか。 『こんな事言うのも、なんだけど。今、派遣社員だとか、契約社員とか流行ってるでしょう?』 「うん。」 流行っていると言うか、時代の流れと言うか。 そして、私も今契約社員だ。 『あんたが正社員だって言ったら、すごいって言われてね。さすが有名大学を卒業した人は違うわって、お母さんちょっとした自慢だったのよ。』 「あ、ああ……そう、なんだ。」 勝手にそんな話、しないでほしい。 『だから、正社員じゃないって分かったら、お母さんも恥かくからね。気合いれて、就職活動しなさいよ。』 「……はぁ。」 電話はその後切れたけれど、代わりに相当なプレッシャーが、私の肩に圧し掛かった。 あーあ。 親の自慢の為に正社員になるって、私、何の為に働くんだろう。 そしてまた、私はため息をついた。 なんでこうなっちゃったんだろう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!