第1話 突然の坂道

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私は正面に置いてある椅子に座った。 「水久保つむぎさんですね。」 「はい、そうです。」 部長は、私の履歴書と私を見比べ、ニコッと笑った。 釣られて、私もニコッと笑う。 「水久保さん。この会社に入社して、半年経ちますが、如何ですか?」 私にできる女、柳井さんの言葉が、降りて来た。 「はい。ようやく仕事も覚え、面白くなってきた頃です。」 「そうですか。それは、よかった。」 これは、正社員へのステップアップ質問!? 準備はいつでもOKです! 「そこでね、水久保さん。」 「はい!」 来た、やっと来た! 「契約社員としての期間は、あと半年残っているんですが……」 「構いません!」 私は、鼻の穴を膨らませながら、言い切った。 「あっ、もしかして……内容、聞いてた?」 あっ、しまったと思いながら、ここは隠しても無駄かなって思って、実はと言う顔した。
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