第1話 突然の坂道

5/24
前へ
/24ページ
次へ
「ど、どういう事ですか!?」 私は思わず、立ち上がった。 「あれ?内容、聞いてたんじゃないの?」 「私が聞いていたのは、正社員になるって話で……」 「ああ!」 部長は、手を大きく叩いた。 「確かに、数人には正社員の話はしましたけど、水久保さんは今回、その枠には、入っていなくてね。」 「そんな!」 私の立場は、一気に崩落。 ステップアップするどころか、再来月から無職になるなんて! 「どうして、私なんですか!」 納得がいかない。 この半年、大きなミスをした事もないし、資料の作成だって、言われた期日に遅れた事もないし。 首を切られる理由が、見当たらない。 「まあ、座って。」 部長に手をヒラヒラさせられ、私は大きく深呼吸した後に、一度椅子に座った。 「水久保さん。有名な大学、卒業しているよね。」 「はい。」 ちょっとした自慢だけど、聞けば誰でも分かるような大学。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2514人が本棚に入れています
本棚に追加