第1話 突然の坂道

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「ありません。」 「それでは、今までお疲れ様でした。」 私はもう一度立ち上がって、頭を下げた。 会議室を出て廊下に出ても、ただ茫然とするしかなかった。 市来さんとかは、会議室に呼ばれてないって言うから、これからも契約社員として、この会社で働く事ができるんだろう。 そう思うと、自分が惨めだった。 私が、何をした? 勉強だって、一生懸命したし。 お母さんの家の手伝いだって、遊びたかったけど頑張ったし。 高校も大学も、人が羨むようなところに入学したし。 でも、人生が狂い始めたのは、就職活動をしていた頃からだ。 そんな頑張ってきた私でも、この厳しい就職活動に漏れず、何社も就職試験を受けては、落ちまくっていた。 ようやく就職が決まったのは、友達の中でも、最後の方だった。 皆で、就職決定したって、お祝いして。 いざ、社会人生活開始!って。 就職した会社が、悪かった。
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