第1話 突然の坂道

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いわゆる、ブラック企業。 朝、9時から夜の10時まで。 ずっと働かせられて、土曜日も出勤させられた。 それなのに給料は増えず、有給休暇を申請しても、繁忙期だからと言って、受け付けてくれなかった。 1年後。 私は体を壊し、その会社は退職。 数か月の療養生活を経て、この会社に契約社員として、入ったと言うのに。 また半年で、また無職? 私は、我が身を呪いながら、自分のオフィスに戻った。 「ただいま、戻りました。」 明らかに雰囲気が暗い私に、両隣の二人も、話しかけてこない。 ああ、なぜこの3人の中で私だけ? 私が、本当に何をしたんだろう。 「水久保さん、どうしたの?」 可愛い女の子・市来さんは、容赦なく聞いてくる。 「あっ、馬鹿!」 デキる女・柳井さんは、空気を読んでスルーするところだったのに。 「だって、このままじゃあ気になって、仕事どころじゃないもの。」
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