第1話 突然の坂道

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まあ市来さんは、私が暗かろうか明るかろうが、関係ないと思うんだけどね。 「だったらせめて、水久保さんから言うまで待つとかさ。」 「ええ?そんな面倒くさい事、するの?こう言う場合、気を利かせて、逆に聞いちゃった方がいいのよ。」 「あなたね。それが気遣いだと思ったら、大間違いよ!」 二人の会話、私には丸聞こえだ。 こうなったら、もう白状するしかない。 「あの……」 私は、手を挙げた。 「はい、水久保さん。」 市来さんが、私を指さす。 「実は、来月いっぱいで契約終了みたいで……」 「うそっ!」 正社員になる柳井さんは、飛び上がる程驚いている。 「本当に~?」 正社員の話も、契約終了の話も来なかった市来さんは、他人事のようだ。 「はい。」 もう、笑うしかないとばかりに、私は二人に笑って見せた。
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