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恋の始まり
「かな、足元!」
野太い声と同時に、あたしの足元に向かって野球ボールが転がってきた。
「はく、気をつけなさいよ」
あたしはボールをつかみ、はくに向かって投げた。
「あざーす」
はくが野球帽を脱いで頭を下げた。ピッチャーとバッターが同じように頭を下げて、ボールが戻るのと同時に練習を再開させた。
「かな、もしかして……」
ニタニタしながら、あかねが囁いた。
「そんなんじゃないよ。ただの幼なじみ」
顧問に、あたし達がおしゃべりしていることに気づかれ叱咤がとんだ。首をすくめ短い返事をし、練習に戻った。
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