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部活が終わり、ラケットなどをあかねと部室に運ぼうとしたとき、野球部のピッチャーがこちらに向かって走ってきた。
「うちの一年が、何度もそちらにおじゃまして申し訳ない」
「いえ」
「望月先輩、ランニング終わりました」
汗を流しながら、はくがやって来た。
「橋本、お前もちゃんと謝れ」
あ、はくの眉が下がった。本当、感情が顔に出るの相変わらずね。
はくが再び謝る。あたしは思わず声をあげて笑った。
「かな、笑うなよ~」
「だって、はく、感情が顔に表れすぎなのだもの」
「知り合いか?」
「はい。かなはおれの幼なじみです」
あ、あかね、本当にそれだけ? みたいな顔をしないでよ。
あたしは無理やり視線を外そうと、時計を見た。いけない。もうこんな時間!
「あかね、急がないとバスに乗り遅れてしまうわ!
では、失礼します」
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