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高校入学式の朝。
校門をくぐり、並ぶ桜が咲き誇る、校庭を歩いて行く。
ざざーっ。
駆け抜けた風に思わず、目を閉じた。
再び目を開くとそこには、……ハラハラと桜の花びらが舞い落ちる中に、風で乱れる髪を押さえた女の子。
心臓が、ぼくんと一回、大きく鼓動した。
女の子は僕と目があうと、ふわりとスカートを翻して去って行く。
……もう一度、会いたい。
きっと、いまの僕は、鮮やかな桜色をしているに違いなかった。
【終】
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