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小箱の中には、丸い形でクマの顔が描かれたチョコのショートケーキ。
が、二個。
「ねぇ、ろうそく立てようか。確か二、三本あったはず」
私はコーヒーを淹れるためにお湯を沸かしながら、キッチンの引き出しの中を探した。
あった♪
そして、冷蔵庫の中に板チョコとホワイトチョコペンがあったはず。
ホワイトチョコペンはコンビニで賞味期限が切れかかっていたものを、見切り品で以前買っていたものだ。
うん、大丈夫。まだ使える。
板チョコを適当な大きさに切って、ホワイトチョコペンで『ハピバ セイヤ』と書いた。
テーブルに置いてあるケーキの一つに板チョコを乗せた。
「東山くん、二十三になるんだっけ?」
うん、と頷く東山くんに「じゃあ三本」と、ろうそくを立てた。
所狭しと板チョコとろうそくを乗せたせいで、ちょっとクマの顔が歪んでしまったけど。
「万莉奈さん、スゲー」
いやいや、全然すごくなんてないって。
お湯が沸いて、インスタントだけどコーヒーを淹れて、テーブルに持っていく。
チャッカマンでろうそくに火を灯し「おめでとう」を言った。
東山くんはフッと火を一気に吹き消し、私に向かって「ありがとう」と微笑んだ。
「なに言ってんの、ケーキ買ってきたのは東山くんじゃない。私はチョコとコーヒー出しただけだよ、って、二十三かぁ……私の二十三って、陸都がお腹の中に……」
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