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けれども考えてみてください。人間の歴史というものは、一面から見れば恋愛史とは言えないでしょうか。現に語り継がれるドラマの殆どは、愛憎劇だと言っても差し支えないぐらいです。世界最古の叙事詩『イリアス』にしても、ただの不倫が原因で国同士の戦争まで引き起こしているのです。
おそらくスパルタ王メネラオスとヘレネは理想の二人ではなかったのでしょう。だからパリスに横恋慕されてしまったのです。もちろん物語上の登場人物ですから、誰と誰が運命の二人かを判断するなんて無意味ですが、少なくとも恋愛関係がうまくいっていれば、血みどろの争いは避けられたはずです。
実在した人物にしても、ウインストン・チャーチル夫妻、ヴィクトル・ユゴーとジュリエット・ドルーエ、ニコライ二世とアレクサンドラ皇后、ジョン・レノンとヨーコ・オノ等、その波乱万丈な人生から、運命の二人として取り上げられることの多い人たちですが、波乱があったということはつまり完全に幸せではなかったのです。
彼らもやはり運命の二人ではなかったのです。大多数のカップルよりは、かなり理想に近かったと言えますけれども、完璧ではありませんでした。互いに他に運命の人がいたので、その人と結ばれるべきだったのです。
どうしてそんなことが言いきれるのだ、と思われるでしょう。
『運命の二人』を判別する方法があるのです。
むろん“赤い糸”ではありません。
“赤い数字”を見ればいいのです。
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