ひ と め ぼ れ

好きな食べ物、好みのタイプ、趣味、特技、口癖。
嬉しいときの表情、嫌なことがあったときの表情。

朝起きたら一番にホットコーヒーを淹れること。
寝る前はゲームとSNSの更新を書かさないこと。
休日は近所を散策がてらジョギングに励んでいること。

彼と過ごした１ヶ月は、彼の人となりを知るには充分すぎるほどの時間だった。

知れば知るほど、もっと、もっと、深く好きになっていくのを自覚した。

そして迎えた今日。
彼が大学の男友達数人を家に連れてくるというから、私は喜んで彼等を招き入れた。

コンビニで調達したらしいお酒やおつまみを持ち込んでの宅飲みが始まって、卒論についてや就職先についてや、時には恋の話なんかでも大いに盛り上がった。

ふいに、彼の友人の一人がスマホで自撮りを始めた。

集合の合図に、全員がレンズに収まるよう互いに体を密着。
笑顔だったり、変顔だったり、キメ顔だったり。

撮影を終えると、写り具合を確認するスマホの持ち主が突如それを放り投げた。

「うわあああああぁぁぁ!! 何だよこれ!! ヤベェって!!」