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ひ と め ぼ れ
例えば、少女漫画におけるはじまりだとしたら。
遅刻寸前の食パンくわえた女子高生が、十字路で出会い頭にぶつかったり。
ハンカチを落としたヒロインが声を掛けられたり。
そんな定番シーンがあるけれど、私の場合のはじまりもそれらに負けないくらいの定番だったと思う。
そう、イケメンとの突然の同居スタートってやつ。
ね、なかなかの定番でしょ。
事の始まりはひと月前、突如私の目の前に現れた彼は長身で爽やかなスポーツマン。
私よりかは少し年下。
春からは新社会人らしく、親元を離れて一人暮らしをするべく上京して来たようで。
不動産屋を数々あたってようやく決まったのが、とっくの前から私が住んでいる1LDKだった。
私にとっては青天の霹靂ともいえる大きなハプニングだったのに、彼は戸惑う素振りもなくすんなりと受け入れてしまった。
彼を追い出して路頭に迷わせるわけにもいかないから、こっちも承諾して同居がスタートした次第だけど。
これからどうなるのかを考えると、少女漫画みたいな展開にならないかなってどこかで期待してしまう自分がいる。
今までこんな気持ちになったことなんてない。
彼を見た瞬間からふわふわと宙に浮いてるみたいな落ち着かない感情に満たされてる。
これってやっぱり、一目惚れってやつなんだと思う。
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