『クマさん。』

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会計を済ませて笑顔で礼を告げると、彼女が「えっと、これ.....お願いします」と言ってシール台紙をとりだした。 今日購入したものについている分を合わせればピッタリ台紙は埋まる。 いそいそと貼り付け、再び笑顔で渡された。 集まってしまった。 心臓がどくどくと脈打った。 引きつった笑顔で交換商品を用意して、袋に詰める。 これを渡したら彼女はまた不定期にしか訪れない。 「それでいいんですか?」とあの生意気な後輩が頭の中で毒づいた。 彼女が笑顔のまま受け取り、そしてレジから離れて──。 「あの.....待ってください! っクマさん!」 予想以上の大きな声に自分で驚く。 いや、その前に、僕は今、何て言った? 頭から爪先まで一気に体が冷えていく感覚。 恐る恐る顔を上げると、僕に背中を向けたまま動かない彼女。 品出しをしていた同僚が青い顔で僕を見ている。 「.....コンビニの店員さんって」 ゆっくり、とてもゆっくりとした動作で彼女の頭が、頭だけがこちらを向く。 「よく来るお客さんに、渾名をつけるって、聞いたことあるけど。本当だったんですね」 彼女の顔は真っ赤に染まっていて、引き攣った笑顔がそこにあった。 僕は馬鹿か──。
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