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◇
「馬鹿ですか?」
後輩がさも呆れたと言わんばかりに大きな溜息をついて僕を見上げた。
僕は何も言い返すことができず、唯々泣きそうな気持ちを押さえつけているだけだった。
「もう来てくれませんよ」という後輩の言葉をどこか遠くで聞いていた。
そんなこと分かっている。
だいたいからしてお前が妙なことを言うから。
僕はただ、遠くから見ているだけで良かったのに。
焚きつけるようなこと言うから──。
考えながら頭を振った。
彼女との関係を変えたいと思っていたのは紛れもなく僕の本心だ。
後輩は見兼ねてそれを指摘しただけ。
どう行動するかだって僕次第だったのだから。
その日は一睡もできなかった。
彼女に申し訳なくて、彼女にもう会えないだろうことが悲しくて。
布団の上をひたすらに転がっていた。
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