『クマさん。』

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「やるじゃん」 バックルームでメモ用紙を食い入るように見つめていると、ばしんと僕の背中を叩きながら後輩がそう言った。 なんて上から目線だと思ったけれども、今の僕にとっては左程気にならない。 「何事も行動してみないと分からないでしょ、先輩」 何故か勝ち誇った顔をした後輩に向かって、「奇跡が起こることもあるんだね」と呟くと珍しく大笑いしていた。 連絡用アプリのIDが書かれたメモ用紙を大切に鞄にしまう。 きっと、今日も眠れない。 でも昨日とは違って、幸せに包まれて眠れないのだから、まぁいいかなと、思う。
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