『クマさん。』

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◇ 「.....カワイイ.....!」 「先輩、ジャマです」 仕事終わりに両手で顔を覆いながらバックルームの扉前でしゃがみこんでいると、丁度休憩に入ったらしいアルバイトの後輩が辛辣な言葉を投げかけてきた。 「ただでさえ無駄にデカくてジャマなのに、通路で蹲るとかやめてください」 一纏めにしていた長い髪をさっと解いて僕の横を通り過ぎつつ後輩は舌打ちをする。 いつもこうしてなかなか酷いことを言ってくるのだが、仕事は僕より出来るしとても優秀な子なので僕は大人しく謝ることしか出来ない。 僕はそそくさと荷物を手にしてその場を後にしようとしたのだけれど、ふいに後輩が言葉を投げかけてきた。 「今朝、来たんですか? あの人.....『クマちゃん』」 「えっ.....」 「キャンペーンが今日からですし。先輩すごいご機嫌だったから」 分かりやすい、とでも言いたげに後輩は肩を竦める。
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