『クマさん。』

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後輩は昼からの勤務のため朝の出来事を知らない。 しかし僕のはしゃぎようから安易に判断できたのだろう。 周囲からは顔にも態度にも気持ちがよく出る人間だと言われるので仕方が無い。 無言を肯定と受け取ったのか、後輩は話を続けた。 「いい加減、連絡先とか聞いたらどうですか?」 「そ、そんなこと出来るわけないだろ!」 「どうして? いつうちに来なくなるか分からないですよ。ただでさえ、あのゆるキャラのキャンペーン中しか寄ってかない人なのに」 「そうだけど.....だって、気持ち悪くない? 店員からお客に話しかけるなんて」 「毎回、大好きですって顔に出てる時点で既にキモイです」 僕は思わず自分の顔を両手でぺたぺたと触った。 後輩が小馬鹿にしたように鼻で笑う。 この子はどうして美人なのにこんなに難のある性格をしているのか。
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