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「『クマちゃん』を見てただ癒されてるだけじゃないんでしょう? 本気で好きだったらダメ元でもいいからぶつかってみるべきかと思いますけど」
「ダメ元とか最初から言わないでよ.....」
「気持ち伝える前に会えなくなる方がキツくないですか?」
それはそうなのだけれど。
このご時世、お客側から連絡先を渡すのはともかく店員側から連絡先を渡すのはいろいろと問題があるのではなかろうか。
いや、連絡先を渡すのではない、ただ伝えればいいのか。
貴女が好きです、と。
──無理だ。
そんな勇気が僕にあるわけがない。
俯いた僕を見て後輩が溜息をついた。
「じゃ、お疲れ様でした」と、一言告げてロッカーに向かっていく。
余計な、お世話だよ。
そう言いたかったけれど、後輩の後ろ姿を睨みつけて心の中で呟くしかできなかった。
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