『クマさん。』

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「すみません、失礼しました.....っ」 「いえ、あの、大丈夫、ですか?」 彼女の言葉に僕は首を傾げた。 すると彼女は後ろに他のお客が並んでいないことを確認して、僕の顔を再び覗き込む。 「顔色があまりよくなさそうですけど.....」 「えっ、いや、大丈夫です! す、すみません」 動揺しつつ、置かれた商品をスキャンしていく。 彼女から話しかけられたのは初めてだ。 それも心配してくれるなんて。 本当に見た目通り優しさで溢れた人なんだなぁ、と胸が熱くなる。 やっぱり僕は彼女が好きだし、本当の名前を知りたいし、叶うことならお客としてでなく普通に会話をしたい。 思いながらも行動に移せない情けない自分に嫌気がさす。
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