暗闇の向こう側

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「何言ってんだよ……そもそも家族でもない限り、そんな都合良く僕に回って来る訳がないし」 『出来るよ。ちょっと関係者に取り憑いて情報操作をすれば』 「医療を馬鹿にしてるのか? 不適合だったりしたら、全部ムダになるんだぞ?」 『それでも……!』  背後にいたアズが、僕の目の前に飛び出して来た。 『ずっと好きだったの! 三年前から、ずっとあの場所であなたを見ていたの!』 「三年前……?」  計算が合わない。  あの場所で僕らが事故に遭ったのは、今から二年前だ。  いや待て。  もしかしたらアズが事故に遭ったのはあの日ではなく、それより一年前の…… 「お、思い出した……確か三年前にも、あの場所で事故があった……!」  被害者が自分の学校の生徒じゃなかったからか、あまり気には止めていなかった。  いつもの時間、いつもの通学路。  あの家の角を曲がったカーブミラーの所に、彼女はいた。  いつも僕の方を見つめて、それを僕は当然のように視えないフリをしていた。  まさか、霊に好意を寄せられているとは、思いも寄らずに。
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