暗闇の向こう側

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 僕の目には、普通の人には見えないモノが視えていた。  それは人であって、もう人ではないモノ達――  姿もそれぞれ。  事故死などで、見るに堪えない姿をしたモノ。  ごく普通に生者となんら変わりの無いモノ。  霊感、と言うのとはまた違うような気がする。  感じるのではない。ただ視えるだけ。  だから、時々分からなくなる事がある。  この人は生者なのか死者なのか――と。  僕は視えないフリをする。  視えている事が分かると、彼らは僕を放っては置かない。  救って欲しいと、その手を伸ばしやって来る。  やめてくれ、救って欲しいのは僕の方だと、  僕の心は、いつ押し潰されてもおかしくない状態だった。  そんな時に起こったこの事故。  損傷したこの目。  それは僕にとっての、降って湧いたような幸運。  そう  思っていたのに……
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