暗闇の向こう側

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 確かに視力は失った。  けれども【霊視力】は健在だった。  つまりは、見たくないモノだけが視えるようになってしまった、と言う事。  今も暗闇の中、目の前に助けを求めて彷徨う亡者達の姿だけが視える。  そんな誰もいない筈の病室で頭を抱え、僕は愕然としていた。 「もう嫌だ! 誰か……いっそ僕を殺してくれ!」  そう叫んだ、その時だった。  僕の両目をふわりと何かが遮ったのは。 「……!?」  その途端、今まで視えていたモノの姿が……消えた。 『どお? まだ視えちゃう?』  あどけない少女の声。 「だ、誰だ? 僕に何をした?」 『うふふ、目隠しをしたの。霊を媒介すると、霊が視えなくなるから』
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