暗闇の向こう側

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  ◇  大学病院での定期検査の日。  あまりに長い待ち時間に耐えかねて、僕はうつらうつらと舟を漕ぎ出していた。  その時、アズが寝ている僕から静かに離れて行くのを感じた。 「アズ……?」  僕から離れたアズは、迷いなく病院の廊下を突き進んで行く。  一体何処へ行くのだろう?  僕はアズの姿だけを目印にして、何度となく人や物にぶつかりながら、その後を懸命に追い掛けて行った。  壁を這うように進んで行くと、外来患者のいない静かな病棟へと辿り着いた。  そこには、数人の患者達がたむろしているのが見える。  僕の目にもはっきりと視える彼らは、かつて患者だった人達だ。  そんな中、アズはある一室の中へと、少し躊躇いがちに姿を消した。
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