二杯目・桜川のかけうどん

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ただでさえ原価ぎりぎりで、利益を犠牲にしている『桜川』にとって、俵太がいう価格では、商売として成り立ちそうにない。 「売れば売るほど、赤字になります……」 このうどんを食べれただけでよかったんだ。 洋志は、そう思うことにした。 俵太が、また算盤をはじきだした。 「こちらのメニューでございますが『かけうどん』だけにされてはいかがでしょうか」 もともと『かけうどん』と『たぬきうどん』しかなかった『桜川』だ。徳三にはメニューを戻すと約束したので問題はない。 問題はもっと別のことだ。 「いや、そうじゃなくて」 「うどんの原価と売値でございますか?」 算盤をはじきながら、俵太がきいてくる。 「ええ、まぁ……」 「それは、いとも容易(たやす)いことでございます」
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