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ただでさえ原価ぎりぎりで、利益を犠牲にしている『桜川』にとって、俵太がいう価格では、商売として成り立ちそうにない。
「売れば売るほど、赤字になります……」
このうどんを食べれただけでよかったんだ。
洋志は、そう思うことにした。
俵太が、また算盤をはじきだした。
「こちらのメニューでございますが『かけうどん』だけにされてはいかがでしょうか」
もともと『かけうどん』と『たぬきうどん』しかなかった『桜川』だ。徳三にはメニューを戻すと約束したので問題はない。
問題はもっと別のことだ。
「いや、そうじゃなくて」
「うどんの原価と売値でございますか?」
算盤をはじきながら、俵太がきいてくる。
「ええ、まぁ……」
「それは、いとも容易いことでございます」
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