ホットケーキにメイプルシロップ

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「分かってるって。」 高校生の時の僕は親の期待やお節介が嫌で嫌で仕方が無くて、ちょっとしたことで大きな声を出し、常にイライラしていた。そんな僕にも癒しの時間があって、それが放課後4時30分。音楽室からいつも決まって聞こえてくる歌声を聞く時間だった。誰が歌っているかは分からなくて、たまたま先生に学級日誌を届けに行って帰りが遅くなった時に聞いてから、すっかり虜になり毎回聞きに来るのが日課になった。歌の上手い下手なんて僕には良く分からなかったが、澄んでいてどこか誰かに訴えているような、芯のある歌声に惹き込まれた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加