ホットケーキにメイプルシロップ

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ある日、いつものように4時30分に歌を聞きに来たが、歌声が全く聞こえない。今まで1度もそんなことは無かったので、何かあったのではないかと心配になって音楽室の戸をあけた。するとそこには肩を震わせて泣いている同じクラスの佐藤ゆりかさんがいた。多分今まで歌っていたのは彼女だろう。彼女は僕の姿を見ると一瞬驚いた顔をした。そして後から考えると自分でもどうしてあんなことをしたのか分からないが、僕は彼女を抱きしめた。抱きしめた瞬間彼女はまた泣き始め、さっきより大きな声で泣いた。僕はどうすることも出来なくて、「大丈夫。大丈夫。大丈夫だから。」と言いながらずっと抱きしめていた。 ミンミンミンミンミン 彼女の泣き声とセミの音が音楽室に響き渡る。
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