call signal

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 夕暮れは、星のまばらな夜空に変わっていた。  信号の取りつけられた電信柱を見て、私は気付いた。ここは、押しボタン式の信号だった。  初めてタツキと二人きりになった日に、同じ事があった。私はタツキに話を聞いてもらえるのが楽しくて、優しい眼差しで頷いてもらえるのがどうしようもなく嬉しくて、信号を待ちながらずっと話し続けていた。そうして腕時計を見たら真夜中を過ぎていたのだ。私は心底驚いた。信号機の前で私とタツキは二時間半も立ち話をしていた。タツキは一度も時間を気に留めることなく、絶対に押しボタンの存在にも気づいていたはずなのにそれを言わないでくれた。タツキはいつでも、私と一緒にいる時間を大切にしてくれていた。  私は、ごめん、と呟いた。堰を切ったように、ごめん、と繰り返した。タツキは何度でも頷いてくれた。涙がぼろぼろと出てきて、鼻の奥がツンとした。大きなトラックが私達の目の前を通り過ぎて、タツキは言った。 「帰ったら、何食べたい?」  私は信号のボタンを押して、答える。 「タツキの作った、オムライス」  すぐに青色に変わった信号を見て、私達は歩き出した。恋をもう一度、始めるために。
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