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僕がよくいくカラオケ店の前で、誰かが不良に絡まれていた。よくよく見ると、それは僕と友人の直樹で、僕たちは金髪と坊主のみるからにガラの悪そうな奴らにすごまれてガタガタ震えている。
なんだ、これは。
ちくわの穴から目を離す。そこには相変わらず怒り狂う母さんがいるだけだ。
その時、リビングの隅で充電中だったケータイがメッセージの着信で震えた。僕はこれ幸いと、ケータイと食べかけのちくわを手に自分の部屋に戻った。母さんが呼び止めたが、噴火の大半は収まっていそうだった。
『明日カラオケいこうぜ。十三時に』
メッセージの主は、直樹だった。いつもなら即スタンプで返事するところだけど、僕はもう一度ちくわの穴を覗いた。
穴の中で僕は、財布をもぎ取られ、ビンタをされ、さらにジャンプをさせられていた。
これが何の映像なのか。その時はまるで予想が付かなかったけど、なんとなく嫌な予感がして、僕は「ごめん」のスタンプを選んで返信した。
ちくわは、あと二本残っていた。僕はもう一本の方を覗いてみたが、そちらはただ、見慣れた部屋の壁紙しか映っていなかった。
翌日、僕は十三時ちょっと前にカラオケ店の近くに行って待ち伏せをした。するとそこに現れたのは、直樹と、同じクラスの田中だった。
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