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二人がカラオケ店に入ろうとしたとき、後ろからガラの悪い二人組が声をかけてきた。遠目から見ても震えあがっている様子がみてとれる。信じられないことに、それは、ちくわで見た映像と同じものだった。ただ僕が、田中に変わっただけのことだった。
アメイジング!
僕は逃げ出すようにその場を離れ、大急ぎで自転車で家にむかった。そして一つの仮説を立てた。
僕は、未来が予測できるちくわを手に入れた。
息を切らせて自分の部屋に戻ると、机には、ラップに包まれたちくわが二本、タオルハンカチの上で横たわっている。
僕は再び、ちくわを覗いた。するとそこには、僕が好きだった今井優里奈(いまいゆりな)が映っていた。
小学校からの付き合いだけど、話をするようになったのは、中三の運動会の頃から。同じクラスになり、放課後の応援練習がきっかけだ。
たぶん向こうも好いていてくれているような気がしたけれど、なんとなく切り出せずに卒業してしまった。僕たちは、高校で離れ離れになってしまう。
その優里奈が、ケータイをじっとみつめている。その画面に映っていたのは、僕の名前だった。
優里奈は僕にメッセージを打とうとして…ため息をつきながら消す。でもまた何か打って…。
これは、僕のこと好きフラグかもしれない。
僕はちくわ越しに久しぶりの優里奈の顔を見て、思いつめた横顔にエールを送る。がんばれ。なにを迷う。なんでもいいから、送ってくれたら即返すのに。
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