ららららら

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ららららら

ららららら。 会社を出て家へと向かう。いつもと同じ道。いつもと変わらない景色。 自宅に着くまでおよそ30分。 いつのまにか覚えた短い歌を口ずさみながら歩く。 最初に聞いたのは、確かこの道を歩き始めて間もない頃。 あれは少女の声だったと思う。小学生くらいの。 あの声が空き地から聞こえたのか、民家から聞こえたのか。 今では分からない。 ららららら。 ここを通るたびに聞こえてきた。 そういえば会社に行くときに聞いたことはない。 聞こえてくるのは帰り道だけだ。 夜になると薄暗い外灯が数本あるだけでかなり暗い。 そんな時間に少女は外にいたんだろうか。 流石にその可能性はないだろう。あまりに危険だ。 だとすれば民家から聞こえていたのか。 しかし、この辺りで小学生の少女を見た覚えはない。 ららららら。 しかし、この歌はなぜか耳に残った。 気づくと帰り道でいつも歌っている。 どこか懐かしいような、不安定な音程。 あの白い服が似合う少女の自作曲かもしれない。 はて、白い服というのはどこから出てきた。 頭の中に少女の形が生まれつつあった。 見たことも会ったこともないのに。 鮮明な姿を描き出す。口ずさむ歌は止まらない。 ららららら。 やがて重なり始める。 この歌が。あの歌と。 自分の声。少女の声。 喧しさと心地よさ。同時に脳内を侵蝕する。 どこまで膨れ上がる。脳が破裂しそうだ。 ららららら。
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