2.小豆澤幸晴

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 聞くところによると、ここのような50メートルプールは学校では珍しいらしい。  ぼくからすると少し狭いくらいに感じるけど、泳げるだけマシだ。  それに水深3メートルだから水面ジャンプもできる深さで、その点は満足している。  一通り朝の運動を終えたぼくが次に向かう先は、用務員用宿舎だ。  といっても倉庫とプールの目の前にあるので、ぼくの速くない歩みでもすぐに辿り着いた。  一般的な一軒家を見たことないから分からないけど、人間が言うにはこれはごくごく普通の一軒家と呼ばれる建物らしい。  人間一人の大きさに対してずいぶんと大きいんだな、というのがぼくの感想だ。  だってペンギンの巣なんて、一羽が寝られるだけの大きさしかないから。  玄関と呼ばれる場所まで辿り着いて、ぼくはゆっくりと扉に手をかける。  普段なら掛かっている鍵が掛かっていなかったので不思議だったけど、とりあえず中に入ることにした。
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