夢の終まで会いに来て

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呼び掛けに答えた薫子は、ゆっくりと瞼を開けて目を合わせる。 彼女を少し強く抱きしめて、抑えきれなくなった涙を零す。 「本物のみーちゃんだ……カエルの人形に付いた匂いじゃなくて……本物のみーちゃんの匂いだ」 「あぁ、本物だ」 「大丈夫なの? 感染っちゃうから外……」 「嫌だ、置いてくなよ……もう嫌なんだよひとりは。寝た切りでも良いから居てくれよ……いつもみたいに毎日来てやるから、仕事なんて辞めてずっと傍に居るから、面倒なら全部見るから、頼むよ……」 「私ね……行ってみたい所や、見てみたい景色が沢山あったの……それでね、私、研究者だから、本当はこんな非論理的な事を……言ったら駄目だけど……人は死んだら……百年後に戻って、来るって信じ……てるの」 「あぁ……何処へだって連れてくから、おい、なんか言葉返せよ!」 右胸に感じていた鼓動が止まり、もう何も喋らなくなる。 病院から出て家に帰ったらしいが、その後の記憶は無かった。 * いつの間にか戦場で自分から流れる血を眺めて倒れていた。 最後に医者から受け取った小さな宝箱に、自分のドッグタグを入れる。 「ごめん薫子、怖くて、苦しかったよな……俺ももう許された、みたいだ……今から行くから……土産話を楽しみに、して、ろ……」 *     
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