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「なんだ? お前達コロニーに興味あるのか?」
「親父が関わってるってことで友達に色々聞かれたし、一応」
「……興味は、ある」
「テレビ見てる限り、一度はやってみたいかなって、少し思ったかしら」
「純粋に未知の領域ってレベルの技術に見えるし、僕も」
そうかそうかと四人の反応を見て心底嬉しそうに何度も何度も頷く大雅。自分が作っているものに子供達が興味を持ってくれればそれだけで嬉しいのだろう。温かい夕食の時間を過ごしている時、氷河はそう思っていた。だからこそ、この広い家で暮らしてきて一度として足を踏み入れることを許されなかった三階へ案内された先で見たものに驚きを隠せなかった。
「今までは絶対に入ったらダメだって言っていたのに」
大雅を先頭に四人は続いて開かずの間状態だった三階へ連れていかれる。上がった先に廊下はなく、すぐに鍵付きの扉だった。大雅は鍵を外しながら楽しそうに言う。
「仕事の都合でどうしても見せられなかったんだ。氷河の言う通り出禁だったけど、これからは四人のための部屋になる。仕事の都合とは言ったけど、完全に父さん一個人の意志と理由で作った部屋だ」
窓がないのか、カーテンの隙間から漏れる外の光すらない闇。唯一あるのは上がってきた階段の明かりのみ。
「さあ、ご覧あれ!」
カチリと軽い硬質音がし、二秒程して中に白色灯が煌々と輝き出す。暗闇から反転した真っ白な視界に四人は揃って目を眩ませ、しかしすぐに順応して戻った視力が目の前に並ぶ大きな卵を捉えた。
「うっそ!?」
気持ちいいくらいに反応する海斗に大雅は嬉しそうに口角を上げる。他の三人も次男程ではないにせよ驚いていた。三階という大きなスペースをたった一室で贅沢に使った大きな部屋には一般家庭にはまずなさそうなスーパーコンピュータらしき筐体やディスプレイが複数鎮座し、それらの奥に無数のコードが見え、そして何よりも目立つのはつい先程テレビで見ていた最新型オンラインゲーム、コロニーに唯一接続できるセルが四つ。
「父さん……これは?」
、
唖然としながら問われた父親は嬉しそうに答える。
「父さんがコロニー開発グループに携わっていたのは知ってると思うけど、上に掛け合って四人の分をもらうことができたんだよ。ほら、ずっと仕事で忙しくてみんなと時間も取れてなかったしさ。お詫びってわけじゃないけど」
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