兆候(1)

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入学式が無事に終わり、 次の日から学校生活もスタートした。 その1週間後には、早々に授業参観が行われた。 サトシは、朝も早くに起きて 意気揚々と登校していて、 ひとまず安心していた。 クラスも幼稚園時代の同級生がかなり多かったので、馴染めるのも早かったようだ。 ママが教室を覗くと、気付いたサトシは笑顔でサインを送ってくれた。 担任の先生は、ベテランでいてユーモアもある信頼がおけそうな女性の先生で、キリッとした話し声に、 こちらも襟を正しながら、 一言一句聞き逃さないように集中し、 真剣に先生の話に耳を傾けていた。 ーが、その次の瞬間・・・ "キーーーーン!!!" 突然、右耳が聞こえなくなり、 先生の声が膜で覆われたようにぼんやりした… (…!!!なに?!…耳鳴り?!…) わたしは慌てて右耳を押さえたー すると今度は頭が膨張するようになった… (…何?!何なの…?!…) 不安から心臓がドクドクと脈打つ… こんな事ははじめてで、 何かが、いつもと違っていたー でも数分後には症状はすぐに治った。 だからその時は、 その事はさほど気には留めなかった。 …しかし思い返すと、 あの症状は、身体が悲鳴をあげているサインだったのでは… 病魔が現れはじめた、最初の兆候 だったのだろう…。
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