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僕が愛した女性は、やはり素敵な人だったと。頑張りすぎてタガが外れてしまっただけだと判ったからだ。
もし、それにお互いが、いやどちらでももっと早く気付いていたら、どこかで修復もできただろうに。あるいは少し我慢して過ごせばトンネルを抜けるが如く道が拓けかもしれない。
でも僕達は別々の道を歩み始めた、彼女は別の幸せを掴むだろう。
僕もただひたすらに、今度こそは愛しい人を守り続けよう。
一陣の風に寒さに感じて思わず足を早めた時、視界に白いものがちらついた。
雪だろうか。
思わず空を見上げた、暗い空から雪はちらりほらりと落ちては来るが、初雪と観測されるほどではないかな……?
その時、ふと自分のマンションが目に入った、カーテンの隙間から明かりが射している。
萌絵には年明けに帰って来た時に合鍵を渡していた、部屋で待ってくれているのかな。
思わず歩くスピードが上がった。
玄関を開けると、可愛いパンプスがきちんと並んでいた。
「おかえりなさい!」
元気な声がした。
「勝手上がってごめんね」
合鍵を渡したと言う事はいつでもどうぞと言う意味なのに。
「あのね、今日、竹内先輩と華先輩と、中華まん、作ったの」
今日は萌絵の会社は休業日になっていたのだ。
「へえ? 生地から?」
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