01.始動

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初めは、ほんの小さな出来事からだった。 19歳の秋。 私は友人と別れて、夜の街をいそいそと歩いていた。 せっかちな私は、ゆっくりのんびり歩くのが好きではない。 道端でキャバクラや夜の仕事のスカウトに声をかけられるが、早く家に帰りたかった私は無言でそれをかわす。 最近友人の影響で化粧が濃くなってきたからか、そういった夜系の人から声をかけられる事が多くなってきた。 今いる場所から家までは電車で1時間かかる。 ちらりと腕時計を見ると、もうすぐ11時になろうとしていた。 終電まであと15分。 時間に余裕があると感じた私は、喉が渇いていたこともあって近くのコンビニへ吸い寄せられるように歩み寄った。 これが、全ての始まりだった。
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