01.始動

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近くの駅まで2人で歩いていると、何気なく田井中に手を繋がれた。 本当に何気なく、自然に。 田井中の手は男なんだと意識する位大きかった。 驚いた私が田井中を見上げると、「また会いたい」と静かに言われた。 その綺麗な目に、私は何も言うことができなかった。 私は田井中とまた会う約束をし、連絡先を交換してこの日は別れた。 この時、まだ私は気づいていなかった。 夜の世界が私の前でぽっかりと大きな口を開けて待っている事に。 私を見送る田井中が不敵な笑みを浮かべている事に。 田井中の本当の正体に。 何故もっと早くに分からなかったのか。 後悔してももう遅かった。
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