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近くの駅まで2人で歩いていると、何気なく田井中に手を繋がれた。
本当に何気なく、自然に。
田井中の手は男なんだと意識する位大きかった。
驚いた私が田井中を見上げると、「また会いたい」と静かに言われた。
その綺麗な目に、私は何も言うことができなかった。
私は田井中とまた会う約束をし、連絡先を交換してこの日は別れた。
この時、まだ私は気づいていなかった。
夜の世界が私の前でぽっかりと大きな口を開けて待っている事に。
私を見送る田井中が不敵な笑みを浮かべている事に。
田井中の本当の正体に。
何故もっと早くに分からなかったのか。
後悔してももう遅かった。
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