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焼きたてのスコーン
微妙なところが不器用で、その人は毎日、小さな失敗をする。
それが可愛くてけらけらと笑うと、その人は決まって、わたしを抱きしめる。照れた顔を見られたくないからだ。それから決まって、「まあ、いいか。わたしはいつでもあなたが笑うと嬉しいから」と言う。
まあるい光のような腕の中は、完成された世界みたいで、額をぐりぐりしたくなる。わたしの体中からぽんぽん跳ねる「好き」に気づいて、その人も嬉しそうな顔をする。そんなとき、わたしはいつも、死にそうだ、と思う。
幸せで幸せで、愛しくて愛しくて、このままこうしていたら、きっと爆発して死んでしまう。そう思うほどの力がむくむく湧いてくる。
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