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世界で一番好きな人と人生を共に歩めるのは幸せなことだと思う。
激しい恋ではないけれど、いつも二人で悩んで笑って泣いてを繰り返してきた。
勇気を振り絞って指輪を買った。
給料三ヶ月分ではないけど、それでも僕のたくさんの想いを込めて選んだ指輪だ。
「篤志(アツシ)さん、早く起きないと遅刻しますよ!」
「あぁ…拓也(タクヤ)くん、おはよう…」
「すみません、オレ今日はお迎えバスに乗る日なんで今から出ます。朝食はラップかけた皿がテーブルの上にあるので。お弁当もありますから。それじゃ行ってきます!」
「…行ってらっしゃい」
幼稚園教諭の拓也くんは毎日忙しい。
相手は小さな子供だから、色々と気を付けないといけないんだとか。
自分はサラリーマンでよかったと思ってしまう。
そんな大変な仕事をしているのに、本当に何から何までやってくれる妻の拓也くん。
もう少し僕に頼ってもいいのに、一人で全部やろうとして無理していないだろうか?
夜に少し話し合った方がいいかもしれない。
そう思いながら、口にした拓也くんの料理はいつもの優しい味がした。
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