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会社で納期に間に合うように必死に仕事をする。
目も神経も仕事に集中するけど、今日だけは拓也くんのことが気がかりで、仕事は遅々として進まない。
普通なら残業してでもノルマ達成させるんだけど、今日は定時で帰らないと!
お昼もデスクで取っていると、後輩や同僚がお弁当を覗き込んでひやかす。
「野中さんの弁当、いつもキレイで美味そうですよね?愛妻弁当でしょ?」
「うん、毎日作ってくれるんだ」
「奥さんもお仕事されてるって言ってませんでした?」
「幼稚園の先生をしているんだよ」
「子供好きで家庭的で…でも共働きで頑張るとか、できすぎの奥さんじゃないですか!羨ましい!」
妻は拓也くんだって誰も知らないから、みんなはきっと素敵な女性を想像して言っているんだろうけど、妻が男だって分かったら…気持ち悪いって思われるのかな。
誰かに認められたくて結婚したんじゃない。
二人で一緒に歩いて行きたい気持ちが、お互い固まったからなのに、どうして躓いてしまうんだろう?
少しスッキリしない気持ちで昼食を終えた僕は、胸に広がるモヤモヤに悩まされながら、定時まで何とか仕事をするのだった。
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