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モヤモヤは更に広がるばかりで、僕の足は鉛のように重くてなかなか進まない。
色々と情けなくて、視界が涙でうっすらと歪む。
家に帰りたいと思って、必死に歩いても距離が縮まった気がしない。
でも座り込むこともできなくて、カタツムリより遅くノロノロと歩く。
「篤志さん!?」
不意に背後からかけられた声に、ゆっくりと振り向くと驚いた表情の拓也くんがいた。
「拓也くん…」
「篤志さん、顔色が悪いですよ。タクシーで帰りましょう」
「でも家まで後少しだし…」
「体調が悪い時は無理しないでください。帰宅する時までブラック企業脳にならないでください」
拓也くんなりのジョークに言い返す気力も笑い返すこともできずに、大人しくタクシーに乗って拓也くんと帰宅した。
少し休んで落ち着いて、やっと色々考えていたことを話そうという気になる。
僕だけで解決できる問題じゃない。
ダイニングに行くと、拓也くんが夕飯の準備をしていたみたいだけど、品数がほとんどない?
「篤志さん、起きて大丈夫なんですか?今、うどんを茹でようかと思ってたんです。お粥だと胃に負担がかかるって聞いたから…」
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