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「ヒョーゴの様子はどうだった?」
ルネン・F・コーネリアはプレハブ小屋に帰って来たモモンガに訊ねた。
「水の精霊と木の精霊が活気付いてるようね、ありがとうももりん」
モモンガが頬張る木の実の量でその土地を占う。
沢山木の実を頬張って戻ってくれば、水、木、土、風の精霊たちがバランス良く活動し、豊年満作が約束されると言う。
ルネンは幼少期からその知識を知っていたが故に齢17才と言う若さで賢者に就任した。
「みんな、引っ越しするから、鉢に戻ってて」
ルネンは小屋の中を優雅に飛び回る、ステンドグラスのような羽根を纏ったフェアリーやピクシーたちに指示を出すと「トレントくん、お願い」と小屋を支える木の精霊に呼び掛ける。
トレントは地面から二本の足を出すと、えっほえっほとかけ声を出しながらヒョウゴの方向へゆっくりと駆けていった。
妖精や精霊たちが好意の証しとしてルネンにプレゼントした品々、組み立てるとベッドやタンスになるトレントの枝や、軽く通気性の良いハーピーの羽毛、温かいユニコーンの鬣に、美しいフェアリーの羽飾りなどを傷付けないように。
「どんな冒険が待っているのかな」
ルネンはある一冊の書物を開く。
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